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しんたに内科消化器内科のホームページをリニューアルしました。
大腸カメラはつらい、痛い、というイメージをお持ちの方もあると思います。検査時の苦痛は腸の壁が過度に伸ばされることで発生します。最新の大腸カメラは以前より細くしなやかになり、またカーブトラッキングといって、カメラが大腸の曲がり角に当たると自動的に柔らかく曲がることで腸を伸ばさない構造に進化しており、苦痛はかなり軽減されました。
腸がしぼんだ状態では小さな病変は見えないため、膨らませる必要があります。従来は空気を入れて腸を膨らませて観察しましたが、検査中あるいは検査後お腹の張りがなかなか取れず、患者さんによっては腹痛や嘔気が出る原因になっていました。当院では炭酸ガス送気機器を導入しており、空気のかわりに二酸化炭素(空気に比べて100倍ほど早く吸収されます)を使うことで、これらの苦痛を軽減しています。
胃カメラと同じく点滴で鎮静剤を使う、などの工夫を組み合わせると苦痛は更に少なく検査出来ます。コロナ感染対策も、胃カメラ同様に行った上で検査します。
一方、お腹の手術を受けられている方、子宮内膜症などでお腹の中に炎症がある方、大腸憩室の炎症を繰り返してきた方、などではお腹の中で腸の外側と腹壁がくっついたり、腸同士が外側でくっつく「癒着」が起こっている場合があります。癒着が強い場合は、大腸カメラが通る時に、どうしても腸が引っ張られた状態になり、痛みが出たり、あるいは曲がり方が急角度になってしまいカメラ自体が通過出来ないケースもあります。そういうケースでは大腸カメラを、途中で終えざるを得ないこともあります。
従来の胃カメラは直径11mm程度の、太いカメラを口から入れて行くものでした。その後より苦痛の少ない検査を目指して、直径5mm強の細い胃カメラが開発され、鼻から入れるという方法が登場しました。細くなったのと、挿入時に舌根が下がる動きが少なくなり「オエッ」となる苦痛が軽減されました。検査中患者さんと医師が会話できるなど、かなり楽に検査を受けられるようになりましたが、残念ながらカメラが細い分まだ性能が悪く、太いカメラに比べると画像は暗く、画質もいま一つ不鮮明なのが難点でした。また先端の曲がる角度も小さく、操作性もあまり良くありませんでした。
ところが2016.11月に新しいモデルが登場し、状況は大きく変わりました。光源にレーザー光を採用したことで画像が格段に明るく、解像度も高く画質も鮮明になりました。視野も広がり、性能は太い胃カメラとほぼ同レベルになりました。また胃カメラの外側を覆う素材も柔らかいものになり、挿入時の鼻の痛みも軽減され、操作性も大きく改善されました。
口から太い胃カメラを入れる場合に比べ患者さんが苦しくないので、医師も「微妙な」病変があっても、ゆっくり時間をかけて観察できるのも、大きなメリットです。医師も人間ですから、検査中患者さんが苦しがっていると、時間をかけた観察はしにくいものです。
患者さんの中には鼻の通り道が狭かったり、鼻の痛みに敏感な方もいます。その場合は細いカメラを口から入れて検査することになりますが、その場合でも太いカメラに比べると、やはり苦痛の少ない胃カメラ検査が出来ます。また、本当の意味での麻酔ではありませんが、点滴で鎮静剤を注射してから胃カメラを行うと、より苦痛が軽減されます。患者さんによっては眠っている間に胃カメラを受けられる方もおられます。
当院では注射をせず、メントール製剤を胃の中に散布する方法をとっていますので、注射の痛みはありません。
大腸がんの早期発見
大腸癌は5大癌の一つで、男女共に3番目に多い癌です。また女性の癌、と言えば乳癌や子宮癌を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は女性の癌の死亡数で一番多いのは、大腸癌です。
大腸癌は年々増えており、年間約2万3千人の女性が大腸癌で命を奪われています。これは乳癌の約1.7倍、子宮癌の約6倍です。大腸癌は他の癌に比べ生存率が高く、「治せる癌」の代表です。にも関わらず死亡数が一番多いのは、かなり進行してしまった状態で発見されている女性が多い、という事実を示します。早期の大腸癌では血便や腹痛などの症状はほとんど出ません。検診を受けて便潜血反応を見ることも大事ですが、この検診の受診率も北海道は非常に低いのが現状です。
女性の大腸癌は40歳を境に増えますので、大腸癌検診も積極的に受けるようにしましょう。
大腸がんを未然に防ぐ
若くても安心できない場合もあります。20代の女性が「血便が出た」と当院を受診され、大腸カメラを行ってみると1Cmを越える大きなポリープがみつかり、内視鏡で切除してみると「高度異型」といって、発癌寸前であった例も実際に経験しました。発癌する前のポリープ(「腺腫」という、まだ良性の段階)のうちに切除してしまえば、大腸癌を未然に防げます。